出発のためのダイジェスト ①

    今までのいろいろなことを反省とともに再思考し、ときには悩んできましたが、気持ちを整理し、過去も精算し、新しい自分を発見するためにも、勇気を持って踏み出したいと思う。残念と言うべきなのか、また幸運と言うべきなのか、依然として組織からは異邦人のような目で見られておりますが、スルーされることに慣れてしまいました。現在の、選挙に狂っている創価の姿を目の当たりにすると、かつての自分も同じだったんだと後悔の気持ちがわきあがってきます。愚かさと熱狂のなかに身を置くと冷静さを失います。理性はいつもリードに繋がれた馬のようなもの。以前テレビで『馬と呼ばれた男』という古いアメリカ映画を見ましたが、自由を拘束する鎖に繋がれることが日常になると、不自由さを感じなくなるのですね。その拘束から解放されるためには勇気が必要です。


    ❖❖❖


    Foo Fighters<青春の挫折と再生> 2010.3.1
    まだニルヴァーナもカート・コベインも知りませんでした。当たり前ですよね。
    わたしの音楽体験は、高校に入学してから怒涛のように押し寄せてきました。無垢な少女を襲う魔手のようにロックの毒を盛られたのです。
    あれからずっ~と、今でも痺れっぱなしなんだから。

    ロックという蛇行する川の流れを一気に変えたグランジの、稀有な才能を間近かに見てきたデイヴ・グロール(Dave Grohl)は、そのあまりにも激しい生き方の結末から解放されるために、自らのロックを、表現方法を確立することを迫られたと言ってよいと思うのです。アーティストとして、ロッカーとして生きていくのなら、いえその前に、悩み多き人間として、カート・コベインという亡霊を、自らの体のなかから葬り去らなければならなかったと考えます。

    青春の挫折と脆さは頂点を極めようと思えば思うほど、細過ぎるタイトロープを渡って行く危うさに似ています。まじり気のない純粋な生き方は、より大きなエネルギーと鉄のような意志が必要でしょう。

    カートは何に追いつめられたのでしょうか?
    わたしにはよく分からない。グランジの意味もよく分かっていないのかもしれない。

    カートは破滅的な、自らの生きた証を灰燼に帰すような「死」を選び、デイヴはカートを愛していたが故に「生」に執着しているように思えます。激しいギター・サウンドのなかに強固な意志を感じるのは、デイヴが幾度も葛藤を経てきたからだと思えるのです。


    ❖❖❖


    Glenn Miller<Moonlight Serenade> 2010.3.21
    未だに世界中でテロ事件が発生しています。
    主義主張のため人命を犠牲にしていいものだろうか?
    同じ過ちを何十何百と繰り返す人間ってなんなのだろう?

    1929年10月24日(Thur)。ブラック・サーズデーと言われるニューヨーク・ウォール街の株式市場の大暴落に端を発した大恐慌<Great Depression>は全世界に波及しました。
    1933年、ドイツでヒトラー内閣が成立。再び37年恐慌も加わり、暗い世相と経済的クライシスは深まるばかりだった。39年ナチスドイツがポーランド侵攻。犠牲者が全世界で6000万人といわれる第2次世界大戦は、まるで人命を塵芥のように消費する最悪の歴史を刻むことになります。

    1904年生まれのグレン・ミラーがトロンボーン奏者として、バンドリーダーとして活躍した時期は、このディープな時代背景のなかにすっぽりと収まります。
    ひとりでに体が動くスウィング・ジャズの楽しさは、暗い世相と密接に関係があるでしょう。人々は癒しの音楽を求めたのです。
    ジャズのエッセンスを取り入れ、アンサンブルに重点がおかれた軽快なスウィングは、ダンス・ミュージックに最適でもありました。

    37年グレン・ミラー楽団を結成。楽団の代名詞とも言える<ムーンライト・セレナーデ>のヒットにより、やがて絶大な人気を獲得することになります。

    ドサまわりをしながらなんとか食いつないでいた彼は、恋人ヘレンに2年ぶりに再会。質屋で値切って買ったイミテーションの真珠の首飾りをプレゼントし、機嫌をとります。貧しい彼の精一杯の愛情表現でした。
    二人は結婚し、楽団が人気バンドになったときパーティで、新作<真珠の首飾り A String of Pearls>を披露しながら、今度は本物の真珠をプレゼントします。夫の妻に対する心憎い演出ですね。たとえ高価でなくてもどれほどうれしかったことでしょう。

    ヘレンの良妻ぶりは、堅実な家庭婦人の典型です。
    新婚1日目から始めたグレン・ミラー・バンド貯金。節約しこつこつと貯めた貯金はバンド結成の資金となります。
    自分のバンドを持つ夢を忘れそうになったとき、夢を忘れないでと思い出させてくれたヘレンの言葉。
    二人で考えた<ムーンライト・セレナーデ>という曲名。
    結婚10周年を記念しての心温まるパーティで、貧しいながら二人の旅立ちとなった、二人を繋いだテレフォン・ナンバー・ペンシルバニア6-5000の演奏。

    適切な夫へのアドバイスと献身。洒落た会話。しみじみとにじみ出てくる人柄。
    貧しくてもいくらでも楽しく生きていけるものなのよ。そう、音楽さえあればね。

    グレンが考える前衛的なバンドは、従来のバンドにホーンセクションの数を増やし厚みのあるサウンド。それでいて重くならず、表現力が増した緻密なアレンジとアンサンブル。グレン・ミラー独自ともいえるサウンドの誕生は、待ち望んでいた新しいビッグ・バンドの形でもあったのです。

    音楽の果たすべき役割と自分の使命を十分に知り尽くしていた彼は、そんな絶頂期にあって軍に志願します。

    音楽が好きで好きで好きで、本当に好きで、音楽を通し励ますことを忘れず、奉仕し、音楽の化身のような人だった彼を、戦争は奪った。

    クリスマスを目の前にした44年の12月15日、パリへ飛んだ飛行機は、ドーバー海峡で行方不明となり、帰らぬ人となったのです。

    戦争ほど残酷なものはありません。
    善良な人々の夢を奪う戦争の悲惨さは、音楽の素晴らしさと相反するものです。

    クリスマスの夜。ラジオから流れてきた<ムーンライト・セレナーデ>。
    そしてアナウンスは言います。
    「グレン少佐はここにおりません。しかし彼の計画通りに放送します。最初の曲はこの放送のため、彼が編曲した、皆さんおなじみの、そして彼のご遺族には思い出の曲です」
    流れてきたのは軽やかにスウィングする<茶色の小瓶>。
    へレンが好きだった<茶色の小瓶>はクリスマス・ソングではありません。
    でも実際に65年前のクリスマスを祝うラジオからこの曲は流れてきたのです。
    平和を祈り、愛する人のためにアレンジした素晴らしい贈り物。かけがえのない人へ届けられたクリスマス・プレゼントだったのです。

    一つの楽器が運命を変える。
    本当にその通りですね。音楽が希望を与え続けるものであることを、ただ無条件に、何の疑いもなく信じた彼の遺志は受け継がれ、ニュー・グレン・ミラー楽団として再結成。その活動は現在まで続いています。

    音楽の都といえばウィーンですが、わたしが言う都とは心の奥にある都のこと。一人一人にある心の奥の音楽の都は、人生を支えるそれぞれのかけがえのないトーンとして不変の調べを奏で、奥深い魔法のような力で、力強く生きていくことを促しているのです。

    どのような理由があれ、暴力で解決できることなど一つもありません。



    ❖❖❖


    風に揺れるバラ 2010.3.24
    わたしの両親はバラが大好きです。
    小さな庭には、イングリッシュ・ローズ、ツルバラが10本ほど。初夏には満開の麗しい花を咲かせます。
    山吹色のカップ咲き
    名花 グラハム・トーマス

    フルーツ香が素敵
    淡いピンクのヘリテージ

    大輪のソフトピンク
    ザ・ジェネラス・ガーデナー
    オールドローズの香りが漂う

    かわいらしいピーチ・ブラッサム
    ひらひらした繊細なピンクの花びら
    ムスク香が強く、あたり一面に漂う
    大きめの鉢に植えて玄関に置くと
    繊細な花びらとともに訪問客を素敵な気分にさせてくれる
    ソフトピンクはやがて
    白に近いピンクに変化していき
    愛しさが増す
    透き通るような花びらは
    可愛らしくて穢れのない乙女

    アプリコットのスウィート・ジュリエ
    あなたの愛は忘れない

    アプリコットのグレイス
    小菊のような細い花弁が上品

    ミディアムピンクの小輪 バレリーナ
    窓辺に咲くあなたの姿を見れば
    誰でもため息をつくわ

    純白のクォーター・ロゼット咲き
    マダム・アルディ
    ダマスクの香りのなかで
    貴婦人のようなたたずまい
    思わず見とれてしまう

    恋の花色コーネリア
    ムスクの香りにうっとり

    ジャクリーヌ・デュプレ
    白い花弁に赤い雄しべ
    あなたに耳を近づければ
    チェロの響きが聞こえてきそう
    愛らしいバラ

    マサコ
    淡いピンクの花びらは幾重にも重なって
    花芯が見えない
    プリンセスの高貴さと強さを持つ

    わたしの好きなバラ
    あなたに花束を作り
    大きな大きな花束を作り
    カードに愛のメッセージを書いて
    心をこめて贈ります

    風に揺れるバラ一輪
    華やかに上品に可愛らしく
    庭に咲くバラは誰が見ていようと見ていまいと咲きほこり散る
    絶望のなかでも諦めず
    強く信じ続けて
    あなたのことをいつも思っている
    世界の片隅で起きた奇跡の物語
    誰もが善良で優しく
    心にかけて心配し
    奇跡が起きることを望んでいる



    <A Very Long Engagement>(とても長い婚約)
    監督:ジャン=ピエール・ジュネ
    出演:オドレイ・トトゥ、ギャスパー・ウリエル

    前向きで聡明な彼女は、たとえ彼の死亡通知がきても、運命の糸を手繰り寄せて願いが叶わなかったとしても、覚悟はできている。その糸を自分の首に回すだけ。彼なしの世界がどんなにつまらない灰色の世界であるかということを知っている。
    彼女の直感が彼が生きていることを告げている。
    第一次大戦を背景に、戦死の報せにも婚約者の生存を確信し、愛の絆と直感を頼りにいくつもの謎を解き明かしながら、愛する人の捜索を一途に行なう一人の女性。ファンタジックなブルターニュの美しい風景と悲惨な戦場のリアリズム。気の利いたエスプリを交えてミステリアスに綴ってゆく。

    幼い頃の病気の後遺症で脚が不自由なマチルド。戦場に旅立った恋人マネクの帰りを待ちわびていた彼女のもとに、ある日、マネク戦死の悲報がもたらされる。彼を含めた5人の兵士が軍法会議で死刑を宣告され、武器も持たずにドイツ軍との中間地帯に置き去りにされたという。だが、マネクの最期を見届けた者はいない。不思議な愛の直感を信じるマチルドは、マネクがまだどこかで生きていると確信する。以来、彼女は私立探偵を雇い独自の調査を始めるとともに、自らの直感を頼りにマネクの消息をたずねて回るのだった.....。

    彼が戦場に赴く日。別れに涙が溢れた。誰が、誰がこんな酷いことを考えるの?
    彼と始めて結ばれた夜。彼はわたしの胸に手を当てて眠った。
    わたしの鼓動をいつでも思い出せるように。
    辛いときはわたしを思い出してね。わたしはいつもあなたのことを考えてるの。

    「僕はかなり強いんだ。一日中でも君をおんぶできるよ」
    幼いときそう言って灯台の上まで運んでくれた。
    灯台からは海の果てまで見えた。おだやかな海は平和な光に溢れていた。
    戦争さえなければ平凡で幸せな一生を歩むことができたのに。

    あなたはわたしの杖、わたしの灯台。愛の時を告げる鐘。海を渡る幸色の風。



      

    mrran-01171.jpg
    【 All Entries 】
    【 New Entry 】
    【 Comments 】
    <>+-
    RSS of the latest comments
    【 Archive 】
    【 Category 】
    【 BlogMURA 】