出発のためのダイジェスト ⑨

    <対極性が示すロックの美学> 2010.5.16
    日本晴れの日曜日。活動日和のお天気ですが、近ごろの寒暖の差の激しさゆえ、体調がおもわしくなく、咳が出たり、熱っぽかったりするので、世界を救うために、日夜悩みが尽きない乙女も、きょうはゆっくり身体を休めようとパソコンとにらめっこしています。日ごろの急進的な行いを反省しつつ、うつらうつらに考えごとなどをしております。
    熟慮と行動、時にはハッタリとカモフラージュ、実像と虚像、戦闘心と出世欲、誠実さ、信念など、普通一般に言われているリーダーとしての素質を磨くために、後には引かないなどと勇ましいことを、口にはしませんが、健気に常日頃の心得としておりますが、体調が悪かったりすると意気込みも萎んでしまうのは、仕方ないことなのでしょうか?
    何事も継続することに意義があり、それは簡単なようで難しいことですが、わたしにとって持続する執念深さがうすいような気がします。それでも自分のことをある程度わかっていれば、自己弁護をするのではなく、潔く反省し、人間的成長と強い意志を磨くために、懼れずチャレンジしていきたい。
    関係ありませんが、きのうはチョット片付けものなどをして重いものを持ったせいか、少し筋肉がついたような気がするのですが、逞しい女子も素敵ですよね。

    それでは、うつらうつらに一句。



    季語が入っていても、何の意味もありませぬ。

    もう2年も前のことですが(正確に言うと1年10ヶ月前ですが、時間が経つのが早過ぎて、1年過ぎたら大雑把に数えることにしました)お給料を貰って、一直線にタワレコに走りました。衝動買いを含めて、10枚のCDを一気買い。そのなかの1枚に、コールドプレイの新譜が含まれておりました。




    611o6vi1.jpg Viva La Vida or Death And All His Friends
    フランスの象徴、ドラクロワの<民衆を導く自由>に激しい筆致で<Viva La Vida>とペインティングされたアートワークを、しばらく眺めていました。「自由」「戦い」「革命」、そんな言葉が思いうかんで、「ウ~ン、ロックだ!」と聴く前から、興奮したのを覚えています。

    耳が痛くなるような、喧騒な音が充満する現在のロック・シーンにあって、コールドプレイは時代性を超越し、トレンドやカテゴリーの外に、自分たちの世界を築き上げてきました。夜空にひときわ輝く星のように、そのサイレントな宇宙は普遍的な色彩を帯びて、いつの時代にも受け入れられるエッセンスを持っていると思います。エモーショナルなサウンド構成は、わたしたちのハートにひたひたと、音楽的体験のカタルシスを味わせてくれるのです。日常のストレスや苛立ちから解放してくれるのです。コールドプレイの世界的なブレイクは、人間の心理のエニグマ的要素に、優しく語りかける癒しの効果があったのかもしれませんね。

    思慮深い? わたしは、あらためて考えました。
    ドラクロワのマリアンヌは、何を象徴しているのでしょう?
    フランス革命を描いた最も有名な絵画に、何か意味があるのだろうか?
    そして、ガヴローシュの運命は、のちのち有名な作家によって、フランス一の著名な少年になるのですが、革命にシルクハットの紳士とは、やはりフランスの国民性と言うべきなのでしょうか。それにただ単純に、ふくよかな胸も露わな女神に、男が惹きつけられたのかもしれないなどと、考えたら際限なく横道に逸れていくので止めにします。
    ライナー・ノーツが指摘しているように(でもこのライターには異議あり!)タイトルがすべてを言い表しているでしょう。

    <Viva La Vida or Death And All His Friends  すばらしき人生と死>

    むむっ、そうきましたか。 
    いきなりロックンロールの本質を突いてきたわね、とわたしは身構えたのでした。
    革命は詩心だ。いや、詩心が革命の原動力と言うべきか。

    冒頭から一聴しただけでコールドプレイとわかる。
    エスニックな雰囲気は、インターナショナルな世界観の提示と解釈しました。これ以上の成功は望めないというほどの勝ちを収めたバンドが、更なる冒険に旅立つために、世界をもう一度見直してみるという行為は自然なものです。特徴的なのは原初的なリズムへの接近でしょう。ロックにとって最も大切なものはリズムです。リズムが土台のように楽曲を支えているといってもよいでしょう。
    音波のうなり、ストリングス、複雑なリズムが一体となって押し寄せてくる。さらに転調の鮮やかさ、自由な曲想、想像力を刺激するメタファーな詞、精神的なガッツさをみせて持続する緊張感、変わらないブリリアントな展開と構成。コールドプレイはリスナーにロックの素晴らしさを、まだ無限に広がる可能性を見せてくれたのでした。

    テーマは "Life"と "Death"。
    西洋と東洋、またアフリカの死生観は根本的に異なっています。単純に、ワールド・ミュージック的なアプローチで表現するには重過ぎるテーマです。わたしは彼らの興奮と意気込みには、惜しみない拍手を送りたいと思います。しかしテーマを十分に消化しているとは思えないのです。テーマの設定と迫り方にやや不足を感じました。
    前作に比べればよりシャープさを増し、コントラストが鮮明なクリア・サウンドに変身したとも言えるでしょう。
    また世界観を広げ、さらに一歩踏み込んだワールド・ワイドな視点は、バンドの次のステップのスタート地点となるでしょう。そこは数々の傑作をものにしてきたアーティストであり、名プロデューサーであるブライアン・イーノの力なのかもしれない。

    このアルバムで大事なことは、誰も指摘はしておりませんが、"Life"と "Death" という両極に位置する言葉の選択です。これはロックンロールのあり方と深く関わっています。

    不変のものと変容するもの。
    巌のように不動のものと陽炎のように揺らぐもの

    いかようにも解釈の幅は広がり、またそれぞれの立場で、原理と応用を適用するように、おもしろいように命題が見つかるのです。

    ノーマルとアブノーマル。
    伝統性と現代性。
    古典とロマン。
    オリジナリティとインプロビゼーション。
    長調と短調。
    普遍性と大衆性。
    正義と悪。
    平和と戦争。
    美と醜。
    明と暗。
    上昇と下降。
    塊と広がり、などなど。

    この両極の二面性を振幅するダイナミズムが、ロックンロールの醍醐味とも言えます。

    世俗的でありながら聖なるもの。
    刹那的でありながら永遠なるもの。
    神聖なるものと悩めるわたし。
     
    そして、わたしのなかの純潔な愛と裏切り。
    賢明さと愚かさ。
    優しさと冷たさ。
    喜びと苦しみ。
    献身と失意。
    祈りと憎しみ。
    強さと弱さ。
    わたしの血脈にも、真っ赤なロックンロールが流れている。

    「美しき生命」と名づけられたこのアルバムは、希望を持ちアクティブな姿勢で生きるためのメッセージを、美しき旋律に書き下ろしたものです。
    コールドプレイの歴史に、新たなチャプターが用意されたのです。

    <Life In Technicolor>
    「なるほど、なるほど、この曲名にキーワードがあるんですね」
    コールドプレイが仕掛けた謎を解いたように、納得したわたしでした。







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