
監督 ロン・ハワード
出演 トム・クルーズ、ニコール・キッドマン
音楽 ジョン・ウィリアムズ
主題歌 “Book of Days”: enya
世間知らずの勝気なお嬢様が、一途に逞しく自分の人生を切り開いていく。ニコール・キッドマン演ずるシャノンの姿にわたしの姿を重ね合わせて、くよくよしたって始まらない、何とかなるさと励まされる。 痛快に生きよう、ぶち当たって考えればいいさ。それが若者の特権ではないかしらとドリーミンな妄想をいだいて、安定志向と戦わない傍観者的ひ弱な精神などくそくらえ(汚い言葉でお許しを!)などと意気込む。
サクセス・ストーリーがそう簡単に手に入るわけではないことはよく承知しています。でも諦めないで夢を追いかけたほうが、ずっ~とおもしろいに違いない。お金なんて何とかなるさ。ボロを着てても一向にかまわない。女だってガッツなスピリットが1番大切なのだ。自分の人生は自分でつかむ。誰かを頼りにしたってなんになろう。
でもそんな強がりを言いながら、世間に無知なわたしは自分のことを理解してくれる恋人が傍にいてくれたら、100%信頼してくれる人がいてくれたら、どんなに心強いことだろうと思うのです。苦労も厭わないのにと考えるのです。踊り子だってやるわよ。
女の幸せは男次第か? 男の幸せは女次第か? いずれにしろ良き伴侶に出会うことが人生の方向を半ば決定づけると、パンク娘を自認するわたしでさえ知っているのです。
わたしのダーリンはわたしに相応しい人なのだろうか? 感情に溺れてはなりませんね。
父親のLPコレクションを漁っていたら、1枚のアルバムが目に留まりました。
奔馬の如く/ボブ・シーガー&ザ・シルバー・バレット・バンド。
野生のきらめきと美しさで駆ける駿馬。たて髪が風に揺れ、飛沫を上げて走り抜ける姿が水面に映り、生き生きとした一瞬をとらえている。ポエティカルな想像力を刺激するアルバム・ジャケットに惹かれたのです。
<遥かなる大地へ>のラスト・シーンのランドレースを思い出します。
ボブ・シーガー11枚目のアルバム。80年のリリース。68年にデヴューし、すでに確固としたキャリアを積んでいます。アルバムは美しいジャケとともに彼のディスコグラフィーのなかで一つのピークを示すものです。
アメリカン・ロックンロールの王道をいく風格と男くさい哀愁がブレンドされ、わたしの瞳はホの字になるわ。ワイルドでシンプル、落ち着いていて静かな佇まい。でも内面は熱く、深い味わいを感じさせます。カントリーティストのロックンロールが大好き!
このアルバムにはゲストとしてグレン・フライ、ドン・ヘンリー、ティモシー・シュミットなどのイーグルスの面々、ドクター・ジョンなどが参加しています。この顔ぶれを見ただけで彼の音楽性と立つ位置がわかるというものです。
79年リリースのイーグルス<ロング・ラン>から
最初のスマッシュ・ヒットとなった<ハートエイク・トゥナイト/Heartache Tonight>はドン・ヘンリー、グレン・フライ、J.D.サウザーとの共作です。
Bob Seger & the Silver Bullet Band<Against the Wind>
タイトル・ナンバー。名曲です。
Seems like yesterday
まるで昨日のように思えるけど
But it was long ago
もう遠い昔のこと
Janie was lovely, she was the queen of my nights
ジェニー、素敵だったよ 彼女は夜の女王だった
There in the darkness with the radio playing low
暗闇のなかに低く流れるラジオの音
And the secrets that we shared
二人で分かち合った秘密
The mountains that we moved
いくつもの山を越え
Caught like a wildfire out of control
止まることのない山火事のように
Till there was nothing left to burn and nothing left to prove
すべてを燃えつくし すべてを確かめ合った
And I remember what she said to me
そしてお前は俺に誓ったね
How she swore that it never would end
二人の愛には終わりはないと
I remember how she held me oh so tight
そうして強く抱きしめてくれた
Wish I didn't know now what I didn't know then
あの頃知らなかったことを 今も知らないままでいたかった
Against the wind
風に向かって
We were running against the wind
風に向かって 俺たちは走った
We were young and strong, we were running
若くて強かった二人
Against the wind
風に向かって 走っていた
❖make a free translation : Anna
音楽は峰をくだってきた清らかな風です
何も思わず無心にその風に身をまかせると
心が洗われたように清々しくなるのです
確かな大地に立ったように答が得られるのです
音楽は迷えるわたしの道標なのです
時には流れに逆らう川魚のように
冷たい風に向かい羽ばたく小鳥のように
努力しても虚しくなるときもあるけど
信じていたいだけ
どこまでも可能性を
いつまでもあきらめないで
希望の一曲は何にもまして
心のなかで
反響するように
共鳴するように響きわたり
わたしに祝福のメッセージを与えてくれる
わたしは勇気のメッセージを受けとるわ
ロックの光に導かれて
森に分け入って迷っても
わたしはきっと見つける
わたしが望んだときめきを
人生ってスリルな毎日ね
新しいことをやろうと思えば
苦労もあるけど何もやらないよりマシよ
満たされず 心の飢餓にあえいで 逡巡し
悩んで 喚いて 言葉を失っても
あなたが教えてくれた
新しい始まりの場所へ
あなたは心の広い人だってことはよくわかっていたわ
だから
風に向かって立ち
風に向かって進んで
太陽のように輝くロック・スピリットに出会うまで
わたしは旅を続ける
何も思わず無心にその風に身をまかせると
心が洗われたように清々しくなるのです
確かな大地に立ったように答が得られるのです
音楽は迷えるわたしの道標なのです
時には流れに逆らう川魚のように
冷たい風に向かい羽ばたく小鳥のように
努力しても虚しくなるときもあるけど
信じていたいだけ
どこまでも可能性を
いつまでもあきらめないで
希望の一曲は何にもまして
心のなかで
反響するように
共鳴するように響きわたり
わたしに祝福のメッセージを与えてくれる
わたしは勇気のメッセージを受けとるわ
ロックの光に導かれて
森に分け入って迷っても
わたしはきっと見つける
わたしが望んだときめきを
人生ってスリルな毎日ね
新しいことをやろうと思えば
苦労もあるけど何もやらないよりマシよ
満たされず 心の飢餓にあえいで 逡巡し
悩んで 喚いて 言葉を失っても
あなたが教えてくれた
新しい始まりの場所へ
あなたは心の広い人だってことはよくわかっていたわ
だから
風に向かって立ち
風に向かって進んで
太陽のように輝くロック・スピリットに出会うまで
わたしは旅を続ける
ルーツをたどれば、ロックンロールはアメリカを中心とした音楽文化。世界中の音楽が相対化されていくワールド・ミュージックの時代に、ロックンロールはポップ・ミュージックの一形態に過ぎないのかもしれないが、閉じた世界ではなく、異種交配を重ね、ミックスを経ながら進化してきました。価値観を書き換える音楽こそ、ロックンロールを形容するにふさわしい捉え方でしょう。リズムは深く民族の伝統音楽に根付いている。
多様性としての折衷はルーツを遡りながら、複雑な混血主義を反映し、バラエティーに富む感情表現として拡大と変容を続けていくと考えるのです。ロックの躍動は、文化衝突のエネルギーを増大しつつ、ワールド・ミュージックの融合に向かって、そのスピードを加速し、未来になだれ込んでいくに違いありません。新しい音楽の、サウンド、バンドの形態、テクノロジー、ヴィジョン、すべてが深化のなかで、アートの主権を獲得していくことを念願します。ロックを補完していくものはロックよりありません。
わたしを補完するものはわたしよりなく、あなたを補完し元気づけるものは、あなたの強い心よりありません。
(❖2010年11月25日の「アンナの日記」から)

- 関連記事
-
- 「いくさやならんどー」 2 (2018/09/23)
- アンナの日記 ② (2019/09/03)
- Against the Wind (2019/12/22)
- 如意宝珠は一珠なれども万宝をふらす (2017/08/28)
- 出発のためのダイジェスト ⑧ (2019/08/10)
Tag :monologue,BobSeger